「入社1年目の教科書」を読まされt…じゃなくて読んだ

一部の方面から読め読めと言われている関係で、最近こんな本を読みました。


入社1年目の教科書

本のタイトルを見て「なんでいまさらこんな本を」といった感想を持ったというのが正直なところなのですが、実際に内容を読んでみたところ「まぁ賛同出来るところもあるけど出来ないところもあるよね」と思いつつも、自分の仕事に対する考えを整理する良い機会を作ることが出来たとは思うので、今回少しまとめてみました。

本書の冒頭に記載されている「仕事において大切な3つの原則」。

原則1: 頼まれたことは、必ずやりきる
原則2: 50点で構わないから早く出せ
原則3: つまらない仕事はない

「新人の仕事」における原則に閉じたお話であれば、上記もまぁ納得はいくわけなのですが、実際に本の内容を読んでいくと、これらが「社会人が年数を重ねた上でも常に心掛けるべき原則」であるかのような文脈で語られているのですよね。正直その点にいろいろと違和感を覚えずにはいられなかったのです。

頼まれたことは100%やりきらなければならない、なんて決して思うな

例えば「頼まれたことは、必ずやりきる」なんて申しておりますが、誰かから頼まれた仕事を「わかりましたわかりました」と言って遂行出来るだけでお給料がもらえる仕事なんて、それこそ大した仕事でもないのですよね。

しかも、この原則を守ろうとした場合、例えば「必死でやっても3日は必要なボリュームの仕事」を「なにがなんでも1日でやるのだ」というクソ上司からの無茶苦茶な指示が出された場合でも、「頼まれたからにはやりきらなきゃ」と思ってボロボロになりながら徹夜で仕上げてしまおうとする。それこそ「Noといえないクソ日本人サラリーマン」の典型例が完成してしまうわけです。

えぇ、ほんとにクソですよクソ。

そこは逆に「そのボリュームでは3日で完遂することは出来ない。ただし優先すべき作業のみであれば1日で完成させることが出来るから、その方向で調整して欲しい」というように、積極的に動いていく必要があると思うのです。これが出来ない人間/仮に出来ても非常に抵抗を持っている人間ってのが、周囲にはやたら一杯いるような気がしてならないのです。

自分の仕事量は自分で調整するよう、常日頃から心掛けよ

「依頼された仕事はとりあえず『はい』と受けておくのが最大限の誠実だ。出来なかったらあとで謝ればいい。…そう思っていたけど、違っていたことに最近気付きました。」

そんなことを某SNSでつぶやいていた知り合いがおりまして、彼は私よりも何年か年上で社会人経験も多かった為、そこらへんのところは十分心得ていると思っていたのですが、あまりのクソサラリーマンっぷりを見せつけられて「なにをいっているんだお前は」と後ろから全力でドロップキックをかましてやりたい衝動に駆られたのは、比較的記憶に新しいことであります。えぇ、わりと本気で。

まぁそれは極端な例にしても、自分の仕事量を自分でちゃんとコントロール出来てこその社会人。仕事の量が多すぎるせいで作業品質がガタ落ちになったとしても、誰もあなたをかばってはくれません。自分の身は自分で守らなければならないと同時に、しっかりとした成果を上げるべく「出来ないものは出来ない」と言える習慣が大事だと思うのです。

自分でやると宣言したものは、絶対にやりきれ。そこから信頼につながる

「ここまでの範囲をいついつまでにやり遂げます」と自ら言い放ったら最後、「何がなんでもその作業はやりきる」っていうのは最重要事項だと思ってます。大抵の場合は、上司だって顧客だって、そのような「宣言」に合わせて他の仕事を色々と調整してくれているに違いないでしょうし、なにより「自分でやります」と言ったことに対して「嘘をつく」形にもなってしまいますから、そんなことを繰り返していたら、そのうち誰も信用してくれなくなってしまうでしょう。

「やりませんやりません」とばかり言ってても、信頼はされないしチャンスも逃してしまって、自らが全く成長出来ない。一方「やりますやります」とばかり言っていても、出来ない仕事ばかり押し付けられる「Noと言えない美しい日本人」と化してしまう。ここらへんの加減が社会人としては非常に難しいところです。

まぁしかし、「自分がやると言った以上絶対にやりきる!男に二言はない!」程度の心意気(実現出来るかどうかはともかくとして)は、社会人としての最低限の美学として持ち合わせていて欲しいものです。世の中にはその程度のことが出来ない連中が山ほどいるので、それだけで十分優位に立てたりしますよ。

他人の意見を丸呑みするな、自分で考える習慣を身につけよ

それ以外にも突っ込みたいポイントは数多くあるのですが、全く書評とはかけ離れてしまうというのと、これを書き始めると今晩徹夜モードになってしまって明日死にそうなので、ここらへんで止めておきたいと思います。

最後にひとつだけ。この手の「オレはこんな感じで頑張って成功したから、お前らも同じように頑張ればきっとうまくいくよ」的なノリの本は、あまり内容を真に受けるのではなく、「自分だったらこんな内容を書くのに」と自らを考え直す機会として活用したほうがベターなのでは、と考えます。

自己啓発系の本を読み漁るような人って、本の内容をそのまま丸暗記して他人に説教するだけのような、考えの浅い人が多かったりするので、少しだけ心配になった次第であります。

そういう人こそが「何者にもなれない人」に類型されるんだろうな、きっと。別に特定の誰かを指しているわけではないんですけどね!